第二次世界大戦下
伊独両軍に占領されたギリシャ・ケファロニア島
そこにやって来たイタリア軍大尉アントニオ・コレリはマンドリンを背負っていた
彼と、彼の部下が奏でる音楽の調べは人生賛歌
銃声でもかき消されることのない愛の歌
ひさびさに納得のいかない冒頭文である。
ということは、ここ数回は気にいってたってことか。
最初に、この作品少し説明不足だなあって思いました。
状況とかじゃなく、感情が。あ、各々が想像すれってことかしら。
おもしろいって聞いて観たんですけど、あまり乗り気ではなかったです。
おすぎ&黒柳がナニ言おうとも。(注:当時の映画のテレビCMのこと)
だってあのCM、なんか嘘くさいジャン。
そもそも「泣ける」って宣伝文句が、観た後の感想とはいえ、使用されるのってなんかヤ。
感動感動って、なんだかなあ。
いや、この映画がどうのってことではなくて。
そもそもこういう場合の「感動=ナケル」ってのが納得いかん。
喜怒哀楽、すべてが感動のひとつだろー。
いや、喜びとかではけっこう泣いてるな。
「癒し」「涙」礼賛みたいな時代の雰囲気が気に入りませんってことですね。
時代とは大きくでたな。そんなに深く考えてないくせに。
と、いうわけで主演のニコラス・ケイジ、たまにかっこよかったデス。
「たまに」。
とはいえ彼がオットコ前に見えたということは、アレレ、はまってたんか私!
いやニコラスの演技力だな。
当作品をご覧になる際は、やはり時代背景を知っていた方がいいと思います。
私は知らなかったけど。
まあ、作品内で説明されてますが。
第二次大戦時に中立を守ろうとしたギリシャは、イギリス・ドイツの攻撃に耐えきれず降伏した。 それに伴い1941年、同作品の舞台となるケフェロニア島に、両軍が占領軍としてやってきた。最初、当然の如く兵士を嫌悪していた島民も、彼らの陽気で気さくな人柄に心を開いていく。
やがて’43年夏、イタリアは連合軍に降伏。イタリア兵は故郷に帰ることとなった。
しかし、武装解除を巡るトラブルからイタリア兵&島民とドイツ兵が衝突、戦闘が始まってしまった。結果は、ドイツの圧勝。降伏した者すらことごとく銃殺される始末。生き残ったイタリア兵は9千人のうち34人であった。
という史実が下地に。
ヒロイン・ペラギアにはペネロペ・クルス。
うつみ宮土里になんとなく似てると思ったのはなんか疲れてたのかな。美人だよね。多分。つきあう男性がだんだん大物になっていくというわらしべ長者恋愛の達人。
ペラギアの父親イアントスに名優(よくしらないけど)ジョン・ハート。
狂言回しっていうのか。それやってる。いい味。名優だな、ウム。とってつけたように言ってるけど。
個人的には、ペラギアの婚約者マンドラス演じるクリスチャン・ベールがいちばん良かった。 マンドラス、最初は悪い人間ではないが、なんとなくイヤな男であった。しかし彼あってこその「コレマン」だろう。
もし「コレマン」観るときあれば、注目して欲しい。
「コレマン」
物語の軸をなすは、アントニオとペラギアの恋物語なのはいうまでもない。
が、ここであえて「恋」と言った。
つまり「恋愛」でない「愛」の物語に私はひかれた。
いっつもそうだな。ベタベタなのはダメなんですよね私。
なんかコンプレックスがあるんでしょうか。ま良いか。
つまりは人間賛歌っていう「愛」ですね。
コレリ大尉らは、占領軍として島にやってきたものの実戦経験は皆無だ。
だから戦争といっても、それは軍事訓練でしかなく、島での生活はバカンスにすぎない。
故に陽気に、気さくに振る舞える。
だがそれは、島民の目には軽薄さとうつる。ペラギアの目にも。
あたりまえだ。だって彼らは誇り愛する祖国を奪った奴らなのだから。
コレリはそれを知っている。しかしペラギアに恋をする。苦悩して、しかし愛する。
やがてその裏表のない姿に島民もペラギアも心開いていくのだが。
このあたりの複雑な心はよくみて取れる。
戦闘状態になるあたりから、物語の雰囲気は一変する。
それまでは、美しく牧歌的な雰囲気さえ漂ってたのに。
戦争の悲劇、愚かさが如実に画面から伝わってくる。
どこの国が正しいとか悪いとか、そういうことをここで言いたいのではない。
戦争とはすべて悪いのだ。
戦争は外交手段とか戦争がない世界なんて理想論とか、そんな話を持ち出されても、それは違う。
悪だ。
必要かも知れない。でも、してはならぬものなのだ。
甘い? 時代の状況が許さなかった?
そんな話をしているのではない。
悪なのだ。
何が悪なのか。
そんなこともわからない方がいるとは思えませんが、いちおう言いましょうか。
人を殺すから。
じゃあ、それがなぜ悪いのかって? マジすか?
冗長になるから詳しくは別コーナー(「書斎」とか。もう最終回むかえてるけど)で、こそっと述べるとしてヒトコトだけ。(注:サイト移転してそんなコーナー消えてます)
悪いと知らない、そのことが悪い。
文句あるか。
実は「コレマン」、最後にもうひと波乱あるのです。
歴史をご存じの方には周知の波乱ですけど。いやー、ビックリした。
ところで音楽いいです。
やっぱ題名が「マンドリン」とか言うてるだけある。
そのわりに、マンドリンの印象は、私はそんなに強くはなかったけど。
でも、「音楽」の印象は強い。
音楽があって、歌があって、私たちは幸せです。
自分の世界に没頭したり、逆に誰かの存在を感じることのできる音楽。
強くなれる。
そして実は音楽とは、単に音楽ではない。
人の声、楽器の調べ、風の囁き、川のせせらぎ、虫の鳴き声、動物たちの息づかい、木々のざわめき・・・。
すべての音が音楽。さらには太陽のかがやきさえも、音楽。
そう感じとれる映像です。いいすぎか。
って何者だ私。
結局、どのへんが人間賛歌なのか言わないまま終わったり。
しかし「コレマン」、戦争物ではなかなかいいのではないでしょうか。
お気に入りです「コレマン」。
単に「コレマン」って表現が気にいったみたいですか。正解。
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