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戦場のピアニスト (The Pianist) 2003/3/1

 実在のピアニスト・シュピルマンの、第二次世界大戦に翻弄された人生を描ききったすさまじいドラマ。カンヌで大絶賛。ふうん。
 人生描ききったつっても最後はノンフィクション系らしくモノローグで一気呵成に語られただけだけれども。「その後、シュピルマンは-------」ってやつですね。アレやると何かまとまった雰囲気醸し出せるし言いたいことも一気に言えるし打ち切りマンガとかでもよくある。や、10週打ち切りの場合だとその後語るほどキャラ掘り下げられてないから最後フラッシュバックのような勢いで数ヶ月数年後に話が飛んだ後「よし、いくぜ!!」的にいちおうの希望を持った感じで終わることが多い。「その後」語り系はむしろある程度連載続いたモノに適しているのではないでしょうか。ご検討下さい。

 さて、主演をはったエイドリアンって人はとりあえずデカイ。なにがって鼻の穴が。どれくらいデカいかって言うとTOKIOの松岡級。これはデカイ。とりあえずそんな役者エイドリアン要チェック。この男が細身なもんで髪整えれば文字通りスマートな紳士、極限状態で髪髭のびればやつれすさんだ感じいっそう際立つあたりに日々の身だしなみの重要性を再確認させられる始末。気をつけろ。


 そろそろいい加減内容に触れろと言う声が聞こえそう。
 ポーランド侵攻、ワルシャワ陥落、ユダヤ人居住区、ドイツ軍、ホロスコート、飢餓、隠れ家、強制収容所、ドイツ将校、秘密の救い・・・
 マこのへんから内容は各自で勝手に推察するように。


 とにかく想像と違う内容だった。ふつうに感動モノとタカをくくっていた。ピアノと共に生きる男、そしてその演奏が彼に反対する者をも感動に導く、そういうものだと。
 ところが。
 本来美しく感動を振りまくべき主人公・シュピルマン、彼の考えることは「食う」「食う」「食う」、これだけ。もうただ食べ物のことばかり。淡々と戦況と現状と写すスクリーン、妙な感情移入を感じさせない音楽もない、いわば退屈ともとられかねない構成が観る者の感情を逆に揺さぶる。本当に「ドラマ」であれば伏線であり得るべき人間関係も突然ぶつりと切れる。そしてその関係は切れたまま2度と近づくことすらない。非合理的で、だからこそあまりにリアルで辛い。

 そこにピアノの音が響く。

 ピアノがある。シュピルマンはだからこそ人として在れた。信じるモノがあったから、確かにそうだ。しかしそれだけではない。ピアノを弾くという行為は動物としてのヒトにとっての生存活動にはまったく不要だ。するとピアノは、彼にとって生きてることの証であり、理生の象徴であり、「私」自身を実感再確認する行為だったと想像する。我らは単に「生存」したいのか、否、己の存在を認識せず生きてどうする。
 だから私は映画後半、突如響くシュピルマンの旋律に震えた。
 だから私は映画最後、おそらくビデオで観ては残念ながらわかり得ないであろうあのスタンディングオベーションの演出に心から驚嘆し、そして感動した。



 ついでに画面に合わせて一緒に立ち上がって恥もかいた。


映画公式HP:http://www.pianist-movie.jp/pianist/index.html
シュピルマン公式(?)サイト:http://www.szpilman.net/(英語)

Amazon.co.jp アソシエイト戦場のピアニスト:DVD原作
DVD:監督:ロマン・ボランスキー
DVD:主演:エイドリアン・ブロディ
DVD:助演:トーマス・クレッチマン(ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉役)
CD:サウンドトラック
関連CD:ウワディスワフ・シュピルマンWLADYSLAW SZPILMAN
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