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WATARIDORI (LE PEUPLE MIGRATEUR) 2003/6/1

それは、“必ず戻ってくる”という約束の物語。

  撮影時の機械やそれを扱う人間に慣れさせるため、卵の頃から人間と暮らした渡り鳥の渡りっぷりを追うドキュメンタリーでして、おまけに都合の良いところでトラックは通るは馬は走るは婆ァさんはエサやりにやってくるは、…ってヤラセじゃんコレ。

 いやーヤラセ最高!! ヤラセとは言いつつ、現実に起こりうる事態を映像的にベストな瞬間におこなったというだけです。実際に起こりうるのです。架空のことではないのです。オッケーです。だってこれは「映画」であって「調査研究」の為ってことじゃない。効果的な演出と言うのです。ドキュメンタリーの定義はいろいろあろうかと思います。少しでも人の手がはいるとそれは違うというのもあるでしょう。でも私は、「現実」というものを効果的に伝えることがドキュメンタリーだと思います。結果として現実が伝わること、であればそれはヤラセではないと。どうでもいいか、観ればこんなゴタク不要。・・・なんという作品を撮ってしまったんでしょう、ジャック・ペラン監督は!! 

 羽ばたく鳥の背中の筋肉の動き、魚を捕らえるために空から水中に突入する際のメタモルフォーゼ、互いのコミュニケーション愛撫求愛行動、飛行時の会話、背後に広がる見たことのない地球の表情・・・、きりがない。かつて文字通り終始(会場の電灯付くまで)、1秒の隙もなく楽しんだ映画があっただろうか。ないってことですけど。

 鳥たちって世界を「惑星」視点で見てたんですね。この映画CG一切使ってないそうですが、CGって所詮人の手によるものだなあと痛感しました。どんなすごいと思ってもどこか想像の範囲内なんですよね。「ワタリドリ」は鳥に特化した映像で、基本的には他の動物は(食物としての昆虫や魚も、天敵としての人間や肉食獣も)必要最小限しか出てきません。ところが、この鳥たちのことひとつとっても想像できない世界が満載でして、特化してなけりゃあ手に負えなかった。ほかの動物でてきて、その生態まで考える余裕ありません。
 でも航空写真のようなあれはほんとにCG じゃないのだろうか、凄。ちなみに地味目なサウンドも絶妙です。

 これ読んでくれてるみなさんには、基本的にもう無理かもしれません。けれどぜひこれは劇場で、いやせめて、せめてできるだけ大画面で観て頂きたい。映画って本当に素晴らしい。


 好きな映画何って訊かれて、そんなんいっぱいあって答えられないじゃないすか。気分で優先順位微妙に変わったり、いつでも甲乙つけがたいっていうか。で、私は今までにそれでも「十二人の怒れる男」ってのは必ず挙げてたんですよね。たったあれだけの空間で、会話だけで、おそろしいほどのエンターテイメント性ってとこに、映画の基本みたいなものを感じたんですよね。だから。

 今日からいつでもどこでも「好きな映画」で必ず名前挙げるのは「十二人の怒れる男」と「WATARIDORI」です。両方ともタイトルがヤクザ映画。



関連(?)作品
「ディープ・ブルー」













にたり。

映画公式HP:http://www.wataridori.jp/

WATARIDORI
十二人の怒れる男
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