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スパイ・ゾルゲ (Spy Sorge) 2003/6/19
正義が、その男を怪物にした。

 いまや朝のワイドショーの顔、“毒舌”小倉智昭氏は最近、友人から「SPをつけたら」と言われてるそうです。本人は、かなり遠慮して話をしているつもりとはいえ、「あれだけはっきり物を言うと危ない」と思われるようですねと苦笑気味。そんな彼がメイン司会を務めるワイドショー「とくダネ」の映画コーナーで彼をして「マトリックスもいいけれど、若い人にはこういう映画こそ観て欲しい」と言わしめた、それが今回とりあげます「スパイ・ゾルゲ」でありまして、いやがうえにも期待が高まります。それよりも僕は「巨泉のこんなものいらない!?」で小間使いに過ぎなかった小倉さんも偉くなったもんだなあと感慨深いです。


 で、「ゾルゲ」なんですけど、篠田正裕監督の引退作とかで力はいってます。3時間です。この引退作にしてはじめて本格的にCG表現をとりいれたとかで、じゃあ「写楽」やら「梟の城」はなんだったんだということですが、そこはまあ、無かったと言うことで。評価もなんですから、アレは。
 それでこのCGだったりデジタル合成にて上海だったり東京だったり、昔の街並みを再現してるのですが、セットが薄っぺらいとかデジタル合成との継ぎ目が気になるとか、とりあえずデジタルな世界は若者に権限まかせないと合成審査基準が甘くなりすぎるんじゃないすかね。個人的には「マトリックス」みたく未見の世界を構築するという以上に、かつて現実に存在したが今はもう無い過去世界、これを再現するというところに、CG力の真骨頂を感じているんですけどね。

 それで内容は、基本的にゾルゲを反戦・平和を目指した英雄というとらえ方をしていました。これは協力者であった本木雅弘演じる尾崎秀実(ほつみ)もおなじとらえ方です。この英雄視に関しては、世界史的にさまざまな評価はあるのでどうとは言えないのですが、まあ主人公ですしね。あまり腐れ外道じゃ感情移入できないですから。実際ゾルゲを演じるイアン・グレンてのがまた格好良くってこの映画観たらふつうにゾルゲシンパになっちゃいそうでした。ちなみに本木さんはいつまでたっても昭和のかおりたえないナイスガイですね。古臭いというかレトロな感じで、それはそれでほんとに格好いいと思います。

 役者はそんなこんなで魅力的なんですが映画としては正直どうかなコレ。あれだけ豪華な役者そろえたなら、もっとやりようがあったんじゃないかなあと思いました。鑑賞3時間中は特に飽きてもうやめたいということはなく、そこは監督の凄さなのかもしれませんがね。ただ淡々と、もちろん史実ゆえ流れを逸脱できないのはわかりますが、もっとこう起承転結・・・。
 ところで映画の話し手もいつのまにか変わっていくんですよ。はじめは尾崎、次にゾルゲ、最後はゾルゲの愛人・三宅花子(葉月里緒菜)というふうに。モノローグの声がどんどん変わって混乱しかねません。登場人物も数多く、そのためかどうかそれぞれの掘り下げが浅く、人物像があまり見えてきません。人物像こそが、この映画の場合は特に、テーマに直結すると思うんですね。任務と感情、公私のはざまで揺れるその様がこの映画で描きたかったことじゃないんですかね。ほんで掘り下げ甘いので、前提条件として英雄視特別視してるはずのゾルゲが、ぜんぜん怪物に見えません。へなちょこです。単にゾルゲのファン映画というかオナニー映画。失礼。

 テーマと言えばメインテーマの「イマジン」はなんかあざとすぎないすかね、使用法にちょっと萎えました。私は知らなかったけど、制作発表の時はこのイマジンにテーマすべてがあるということは監督は公言してたようですね。だからってあんなあざとく使うこともないと思うけど。世界観から浮いてたし。


 先程申し上げたとおり、3時間退屈することは、まあ・・・無かったので、興味があれば観てもいいなあと思います。・・・かなあ。少し寝ちゃったけど。それにしても3時間はちょっと長いですかね。でもまあ夏川由衣は最近時代劇御用達になってますけど相変わらずかわいいし、小雪もいままさに輝いてる感じで綺麗というかこれもかわいくてホント良かったですよ。葉月里緒菜はどうでもいいですが、いや失敬。


 制作費20億円か・・・。
 いくら引退作品とはいえ、だれか篠田監督にブレーキかけたれよ。

いい男風。


や、実際にカッコイイんだけどね。


今は無きソ連のために頑張る!


いいように利用される尾崎秀実(本木雅弘)。負けるな!



街並みを再現。


そんななか、かなり浮いて見えたゾルゲバイク。


葉月里緒菜&小雪の美人ズ。私は夏川由衣たんがいちばん好き。


実際のゾルゲと尾崎はこんなの。

映画公式HP:http://www.spy-sorge.com/

スパイ・ゾルゲ
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