黒田硫黄さんの「茄子」という短編集収録のひとつを映画化したものだそうです。未読です。というか黒田さん自体読んだこと無いすね私。でも映画観て読みたくなりました。そゆこと。
監督は高坂希太郎監督。スタジオジブリやマッドハウスという制作会社で作画監督など務めた方です。「アンダルシア」の絵柄はジブリ寄りです(寄りなだけで1分も観れば全然違うとわかります)が、「YAWARA!」や「MASTERキートン」も手がけたと言えばわかる人はその良質な仕事っぷりに期待を持ち得ようというもの。
さて、この映画には何をさしおいてもまず特筆すべきことがあるんです。それは上映時間47分、鑑賞料金1000円ということ。DVDなどで家庭でご覧になる方にはまったくどうでもいい、というかむしろ余計な情報なんですが、この点を劇場公開前に連呼することで当時確かに「時間は短いけれど割安感・お手軽感」が存在しました。興行成果を知りたいですね。成功すればこれは映画界にとって良いことだと思います。つってもレンタル派にとっては映画1000円でも高いつう話ですかね。
けれど私には1000円、確かに安いですね。47分という時間も、最初から「短い」と言うつもりで見てたせいか長く長く感じました。もちろん内容がうんこならどうしようもないけど、この内容なら1000円、オッケーです。
物語は自転車レース。人生とレースをからめる感じでまあよくあるパターンです。ただ世界最大規模ではありますが日本人にはなじみの薄い自転車レースなんですね。ブエルタ・ア・エスパーニャというレースです。このスペイン一周のブエルタ・ア・エスパーニャと、イタリアを一周するジロ・デ・イタリア(通称ジロ)、世界最大のレースと称されるフランス一周のツール・ド・フランス(通称ツール)を合わせて自転車レース3大ツールと呼ばれています。個人的にはツールしか知りませんでした。
このレースの実況がまさに実況、ライブとして映画の観客の私たちにも示されるわけです。上映時間47分がそのままレースの時間ですからね。解説者なんかもいたりして、基本テクニックなど技術的な説明も多く楽しいです。自転車レースっておもしろい!とかマジ思います。テレビで自転車レースとかあったら今度から見るかも知れないですね、いやほんとに。自転車振興会とかそういうプロモーションとしてもなかなかですね。自転車レースの魅力を提示する、それだけでも成功じゃないですかね。
ストーリーは、先程申し上げたとおりのわかりやすいパターンでして、レースそのものを人生と見立てた雰囲気です。ただ時間制限もあり余分なシーンは一切なく、基本的に上映時間は終始レースシーンなんですね。その潔さが私は好きです。いちおう裏で錯綜する家族や恋人の物語とかもあるんですけど、まあ、ストーリーに関してはどっか他のサイト見て下さい。(最低)
声優については主人公ぺぺを北海道のスーパースター・大泉洋さんが演じており、かなりMOE。「千と千尋の神隠し」の番頭蛙のとき同様、妙にこなれた演技です。まあ大泉さんのファンってだけですかね、私が。
最後にいつものように「絵」に関して述べますと、灼熱の感じが少ない気がします。空気の暑さ、体温の熱さみたいなものが物足りない。せっかくの自転車をこぐというモチーフなのに筋肉描写も少ないし。とはいえそれはクライマックスに従って次第に提示され、それも演出だったのかもしれませんね。でも最初から描き込んでてほしかったですけども。
それとこの、ほのぼのジャパニーズや無国籍人種が多かったジブリ系絵柄で、スペインとか彫り深い人種指定されてもなあ…どうみてものっぺりジャップにしか見えません。まあそれが作品のなんのマイナスになる?と訊かれると、なにもマイナスじゃないですけど。ちなみに、自転車チームのふとっちょ監督の頬肉たるみはこれは良い! しわがうまい絵は良い!
そうそう、ちょっとだけ話題になってた忌野清志朗の歌うEDソング「自転車ショー歌」なんですけど、自転車メーカー知らないのでおもしろさが全然わからん。(笑)
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